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離婚のポイント

離婚の手続きについて

離婚の種類

①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚があります。
①協議離婚は、夫と妻が離婚届に署名・押印をして提出する方法です。離婚届には、2名の証人の署名と押印が必要です。
②調停離婚は裁判所で調停を行って、そこで離婚を成立させる方法です。
調停は、裁判所で話し合いを行う手続です。双方が話し合いの上、離婚することに合意できれば調停が成立となります。調停成立後、離婚届を提出する必要がありますが、相手方と証人の署名、押印は必要ありません。
調停離婚に似たものとして審判離婚もあります。
③裁判離婚は、裁判を行って判決で離婚が認められることです。判決に至る前に、和解をして離婚が成立することもあります。
判決で離婚が認められるためには、民法が定める離婚原因がなければいけません。

民法770条1項が定める離婚原因は次の通りです。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

判決確定後、離婚届を提出する必要がありますが、相手方と証人の署名、押印は必要ありません。

離婚後の妻(夫)の戸籍と姓

離婚が成立すると、夫婦のうち、筆頭者になっていなかった方は婚姻時の戸籍から抜けます。
離婚届を提出する際に、離婚後の戸籍をどうするかを決めます。
婚姻前の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作ることになります。
婚姻前の戸籍に戻る場合は、婚姻前の姓に戻ります。
新しい戸籍を作る場合、本籍地は、実在する場所であれば、自由に決めることができます。
新しい戸籍を作る場合、婚姻前の姓を名乗ることもできますし、婚姻時の姓を引き続き名乗ることもできます。離婚届の提出時に、婚姻前の姓にした場合でも、離婚後3か月以内であれば、役所で手続をすることで婚姻時の姓に戻ることができます。離婚後3か月を経過した場合に、婚姻時の姓に戻りたい場合には、家庭裁判所の許可が必要です。

子どもの戸籍と姓

離婚が成立し、離婚届を提出しても、それだけでは子どもの戸籍や姓に変更はありません。
子どもを親権者と同じ戸籍に移したい場合には、家庭裁判所で「子の氏変更許可」の手続をする必要があります。通常は、親権者と同じ姓を名乗るためという理由であれば、簡単に変更が認められます。
家庭裁判所から、子の氏変更の許可が出た後、役所で手続きをすると、子どもの戸籍が変更され、姓も変更されます。

離婚協議書・公正証書

離婚する際に協議して合意したことを書面にしたものを離婚協議書といいます。
書面にしなくても合意は有効ですが、合意したかどうか、合意の内容はどのようなものであったかについてもめることがありますので、書面にしておくことがいいでしょう。
夫婦が自分達で作った離婚協議書でも有効ですが、内容が法的に問題があったり、あいまいだったり、不足していることがあるので、弁護士に相談するか、公正証書にすることをおすすめします。
また、公正証書にしておけば、公正証書に記載された金銭の支払い(慰謝料、財産分与、養育費の支払など)を相手が行わなかったときに、強制執行という法的手続をとることができます。
公正証書は、公証人役場で作成します。
また、裁判所で作成される調停調書や、審判書、判決でも強制執行をすることができます。

離婚協議書の作成方法

離婚協議書は、離婚後にもめないように作成するものです。
書面にしなくても合意は有効ですが、合意したかどうか、合意の内容はどのようなものであったかについてもめることがありますので、書面にしておくことが重要です。
漏れがないようにすること、あいまいな内容にしないこと、法的に有効な内容にすることが大切です。
また、いつ、誰が作ったものかを明確にしておくことも必要です。
作成の前には、弁護士に相談することをおすすめします。

離婚公正証書の作成方法

夫婦の間で、公正証書に記載する内容について合意ができたら、公証人役場に連絡をして予約をします。
予約した時間に公証人役場に行き、公正証書を作成します。
本人が行けない場合には、代理人が行くこともできます。
離婚公正証書は離婚に伴う条件を記載する文書であり、公正証書の作成とは別に、役所に離婚届の提出をしないと離婚は成立しません。

離婚する際の社会保険の手続き

婚姻中に、妻や子どもが夫の社会保険に加入していた場合、離婚後は夫の社会保険から抜けることが一般的です。
離婚後、夫は勤務先から「資格喪失証明書」を発行してもらいます。この書類を発行してもらうために、妻と子どもの健康保険証を勤務先に返す必要があります。
妻が自分の勤務先や、役所に資格喪失証明書を提出すると、社会保険や国民健康保険に加入することができます。
妻は、新しく、社会保険や、国民健康保険に加入するまで、無保険の状態となってしまい、病院の受診に困ることがあります。医療機関によって、いったん医療費を全額自己負担とした上で、後日保険証を提出した際に返金してもらえたり、新しい保険証ができる前でも保険適用として受診できたりするところもあるようですので、医療機関にご相談ください。
もちろん、夫や子どもが妻の社会保険に加入しており、離婚となった場合にも同様の手続となります。

子どもに関すること

親権について

婚姻中、未成年の子どもは両親の共同親権に服しています。
離婚する際、未成年者の子どもがいる場合には、夫婦のどちらを親権者とするかを必ず決めなければなりません。親権者を決められなければ、離婚することができません。
夫婦が話し合いの上、どちらを親権者とするかに合意することができればよいのですが、話し合いが付かない場合には、家庭裁判所で決めることになります。

親権者はどのように決めるのか

家庭裁判所で親権者を決める際、子どもの発達段階と心理的特徴等をふまえて、「主たる監護者」、「生活環境の継続性」、「面会交流の許容性」、「子の意思」を中心に、どちらを親権者とすることが子どもの利益となるかという視点で判断します。
就学前の小さな子どもの場合には、これまでの主たる監護者が誰かという点が一般的には最も重視されているといえます。

養育費

離婚後、子を監護しない親は、子を監護している親に対して養育費を支払う必要があります。
養育費についても、両親で話し合って決めることができます。
話し合いが付かない場合には、家庭裁判所で決めることになります。
家庭裁判所で決める場合、「養育費・婚姻費用算定表」を参考に決めることが多いです。
「養育費・婚姻費用算定表」は、両親それぞれの収入、何歳の子どもが何人いるかによって、養育費の目安を表しています。

面会交流

子どもと離れて暮らす親は、子どもと交流することができます。これを面会交流といいます。
どのように面会交流を行うかについて、両親間で話し合いをして決めることができます。
話し合いが付かない場合には、家庭裁判所で決めることになります。
面会交流は、子どものために行うものですから、子どもにとって最善の方法が何かを考えることが必要です。
直接会うこと以外に、テレビ電話を行ったり、写真や動画を送る方法をとることもあります。

養育費と面会交流

養育費と面会交流は、本来、無関係なものです。
ですから、養育費を払ってもらえないから面会させない、面会する必要がないから養育費は払わない等ということはできません。
とはいっても、養育費を払わない相手に子どもを合わせたくない気持ちになることは当然ですし、面会できない子どもの養育費を払う気持ちにはなかなかなれないものです。
子どもともう一方の親を思いやり、冷静な対応をするべきだと考えます。

お金に関すること

慰謝料

精神的苦痛を被ったことに対する賠償金が慰謝料です。
離婚に関して、一般的に認められる慰謝料の原因としては、不貞行為があった、DVがあったというものです。
相手方が自発的に慰謝料を払ってくれればいいのですが、なかなか難しく、慰謝料を払ってもらおうと思うと、証拠が必要となることが多いです。

財産分与

結婚してからできた財産を分けることです。
分ける割合は、ほぼ全ての事案で1/2ずつです。
結婚前から持っていた財産や、結婚後に相続した財産は財産分与の対象になりません。
どの財産を財産分与の対象とするか、分ける前提としていくらの財産と考えるのかについて争いになることが多いです。
離婚後に請求することもできますが、離婚成立後、2年を経過すると時効となって請求する権利を失います。

婚姻費用の請求

離婚するまでの間、夫婦の一方に対して生活費を求めることができます。これを婚姻費用といっています。
婚姻費用をいくら払うかは、夫婦が話し合って決めることができます。
話し合いが付かない場合には、家庭裁判所で決めることになります。
家庭裁判所で決める場合、「養育費・婚姻費用算定表」を参考に決めることが多いです。
「養育費・婚姻費用算定表」は、夫婦それぞれの収入、何歳の子どもが何人いるかによって、婚姻費用の目安を表しています。

年金分割

離婚の際、夫婦の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれの年金とすることができる制度です。具体的には、年金分割によって、婚姻期間中について、厚生年金の支給額の計算の基となる報酬額(標準報酬)の記録が分割されることになります。
年金分割の手続きは、離婚をした日の翌日から2年を経過すると、請求できなくなります。また、離婚成立後、相手方が亡くなった場合、その死亡した日から起算して1カ月を経過すると請求できなくなります。